ベジ栄養学

n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸~食品源を知ろう!ナッツは種類によって比率が違う!炎症に関わるって本当?

注目のn‐3系脂肪酸は、どうn‐6系と違うの?

はつみ顔管理栄養士 はつみ

ベジタリアン食により、死亡率の約半分を占める生活習慣病のリスクを下げることは知られてきています。食物繊維、葉酸、ビタミンCやEといった抗酸化作用のあるビタミン、カリウムやマグネシウムを多く含むだけでなく、飽和脂肪酸より不飽和脂肪酸を多く含むことがその理由です。(1)(2)

ノンベジタリアンでもベジタリアンでも不足しやすい栄養素があります。ベジタリアンが特に気を付けるべき栄養素にビタミンB12があると以前書きました。ビタミンDカルシウムについては、ベジタリアンだというだけでなく、豪雪地帯の住民は皆、要注意だという話も書きました。

今日の話は、n‐3系脂肪酸ですよね?
記事やサプリでよく見るけど、脂肪酸ってどんな種類があるのかしら?

「脂肪酸は飽和と不飽和に分類されます。二重結合の無い飽和脂肪酸は、厚生労働省の食事摂取基準の中でも脂質異常症を悪化させることなどが指摘されているので、エネルギーの7%未満にしようと目標値の設定がされています。ベジタリアンは、この目標は簡単にクリアできることが多いので、大丈夫ですね!」

健康な血管と不健康な血管

不飽和脂肪酸は3つに分類されます。

①単価(一価)不飽和脂肪酸
②多価不飽和脂肪酸 n‐3系
③多価不飽和脂肪酸 n‐6系

です!

なるほど~!この中でどれを摂るといいの?

①の単価不飽和脂肪酸という一つだけ不飽和結合(二重結合)がある脂肪酸で、オリーブオイルやキャノーラオイルや多くのナッツに多く含まれます。二重結合部分が1個しかないので、加熱しても酸化がゆっくり進むのが、多価不飽和脂肪酸という二重結合がたくさんある脂肪酸との違いです。加熱料理に使ったりするといいですね。」

オリーブとオリーブ油

②と③の多価不飽和脂肪酸は、二重結合が端から何個目に最初にあるかで、n‐3系とn‐6系に分かれます。やっと今日の主題です!」

待ってました~!

食事摂取基準では、n‐3系脂肪酸を2g前後取るように目安量が設定されています。その5倍の10g前後、n‐6系脂肪酸の目安量が設定されています。データがじゅうぶんでないという文言もあり、奥歯にものがはさまったような表現で説明されています。」

いろいろな文献では、その割合が大事だとされます。しかし、日本の普通の食事を送る人を調べてみても、何も考えずに外食したり加工食品を食べていると、n‐6系をはるかに多く摂ってしまいますなぜなら、ほとんどの植物性油脂がn‐6系ばかり多く含むからです。この割合を崩し、n‐6系を多く摂ることが、様々な血管の病気やアレルギー反応に関与する「炎症の起きやすさ」と大いに関係していることがわかっています。アトピー性皮膚炎を持っている人の症状の重さとも関係しているわけです。(3)

「抗炎症ダイエット」は間もなく日本でも流行するはずです。炎症性の腸の疾患は、若い人にも増えてきています。欧米化した食事になるとともに増えてきているので、油脂の取り方を見直してほしいです!

n‐3系脂肪酸を多く含むのはこの3つだけ!

①亜麻仁油
②えごま油
③魚油

です!

①と②の油脂は、体内で合成できない必須脂肪酸のα‐リノレン酸というn‐3系脂肪酸を多く含む貴重な油です!

③の魚油(特に青魚に多い)には、血液サラサラ効果で有名なEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸:神経組織の構成脂質なので頭が良くなるという歌もありましたね!)というやはりn‐3系脂肪酸を含みます。

EPAもDHAもα‐リノレン酸から体内で合成できるので、ベジタリアンの人はα‐リノレン酸をしっかり摂る必要があります。特に妊婦は、お腹の中で胎児が成長中で、神経シナプスや網膜にも多く含まれるDHAが必要ですから、しっかり摂ってほしいです!もちろん、高齢者にも重要です。高齢になるとα‐リノレン酸からEPAやDHAに変換することが若い時みたいにはうまくいかなくなることが指摘されています。

不足すると必須脂肪酸は皮膚炎などを起こすことがわかっています。そのレベルまで欠乏してしまう症例は少ないのですが、やはり日頃からn‐3系の脂肪酸を摂ることには留意した方いいですね。

わかりました!どの位の量とればいいのかしら?

★日頃から、亜麻仁油かえごま油を取り入れましょう!

★スプーン1杯程度を、加熱しないでとりましょう!

(↑酸化しやすいので)

えごまを料理に使う人もいます!手に入るならそれもいいでしょう!

開封後、冷蔵庫に保存しましょうね!

油は何を使っているのか教えて~

「私もそうですが、多くの管理栄養士の家には、サラダ油はありません。マーガリンもありません。サラダ油で作られた市販のドレッシングもありません。長期的に見て、血管の健康や炎症に関わる疾病のリスクを考えてのことです。」

「私の家では、オリーブオイル、キャノーラ油(オリーブオイルには向かない加熱料理用に)と亜麻仁油、香りづけに時々少量使いたいのでゴマ油が買ってあります。亜麻仁油とごま油は冷蔵庫の中です。亜麻仁油は和え物に加えるか、ドレッシングを作る時に使うかしてます。」

「脂質は大事な脂肪酸も含み、料理を美味しくしてくれる上に、満足感ももたらしてくれます。でも、精製した油より油脂を含む食品の形で摂った方が良いというのも昔から言われていることで、その通りだろうと思います。そうすれば、量的に油の摂りすぎにはならないし、含まれる抗酸化物質も一緒に摂ることができます。オリーブを食べたり、種実類のナッツ類を食べたりという取り方を心掛けながら、使用する調理油の種類にも気を付けるというのが現実的かなと思います。」

ナッツについてですが、クルミだけはn‐6系の方が多いです。それ以外のアーモンドやピーナッツなどは、n‐6系脂肪酸とほんの少量のn‐3も含みますが、単価不飽和脂肪酸が多いので、炎症に関しては中立的です。どのナッツにも以前書いたように抗酸化物質が豊富に含まれているので、いろいろな種類のナッツを食事に取り入れることはおススメします!」


脂肪酸組成についても調べられるのが、今どきの「食品成分表」です。ビタミンやたんぱく質などの栄養素ももちろん調べられます。食品の比較をしたい時にとても便利!食品の辞書です。一家に一冊、是非そろえておきましょ~~♬」

 


(1)Winston J. Craig  Health effects of vegan diets. Am J Clin Nutr.2009 May;89(5)
(2)Position of the American Dietetic Association and Dietitians of Canada: Vegetarian diets. J Am Diet Assoc.2003 Jun;103(6)
(3)清水俊明 n‐3系多価不飽和脂肪酸の各種病態に対する有用性の検討 順天堂医学 49(1), 12-23, 2003-05-30

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