ベジ栄養学

マクロビオティックダイエットとは?玄米菜食?癌患者に人気の食事法の理由!

マクロビオティックダイエットとは?玄米菜食?

はつみ顔管理栄養士 はつみ

◆マクロビオティックダイエットの特徴

マクロビオティックダイエットは、今、定着した姿としては、玄米菜食のイメージが強いと思います。
元々日本人の桜沢如一さんが始めた健康食が、アメリカで流行して、その後日本にやってきた「逆輸入」の食事法です!痩せ方ではありません。
特に、アメリカで癌患者が治療食や術後の癌の再発防止のために選ぶ食事法として有名になりました。

玄米と味噌汁

マクロビオティックは、玄米をベースに菜食だというだけではないです。ベジタリアン食が基盤ですが、食べ方というだけではなく、もう少し奥が深いです。生き方でもあります。

より受け入れやすい改善版のマクロビオティックをアメリカで広めた桜沢さんの弟子の久司道夫さんによると、食べ方ではなく生き方であるという考え方なんです。哲学のようなものですね。
心身の健康を維持するだけでなく、幸せと平和を維持する食べ方であるということです。哲学的な要素があるのです!身土不二陰陽の考えを取り入れているのが特徴的です。

★マクロビオティックのガイドラインを見てみましょう!
5つの食品カテゴリーがあります。
それぞれの食品群の重量の割合を示しているのも特徴的です。

・無精製の穀類(40~60%)
玄米、大麦(もち麦や押し麦)、キビ、小麦、トウモロコシ、ライ麦、ソバなど。またそれらの全粒穀類から作ったパンや麺類。

・野菜(20~30%)
出来れば地元で育った野菜を、様々な調理法で。少量、生や漬け物として食べる野菜を含める。

・豆(5~10%)
大豆、小豆、ひよこ豆、レンティル豆など。豆腐や納豆やテンペイなど大豆製品。

・海藻
定期的に海藻料理を取り入れる。海苔、ワカメ、昆布、ひじきなど。

・果物、白身の魚、種実類(ナッツやゴマ)
週に数回かそれ以下の頻度で食べる

スタンダードなマクロビオティック食では、肉類や動物性の脂肪(ラードやバター)、卵、乳製品、精製した砂糖、人工甘味料やその他の添加物は使いません

また、活動量を増やすこと、農薬や薬品に触れる機会を減らすこと、電磁放射を減らすこと、ストレスを減らすことも重視してすすめています。食事についてだけでなく、生活全般についても言及しているわけです。(1)

全ての食材は、基本的に有機栽培で育てたものを、最低限の加工や調理をしていただくようにします。皮をむかないで丸ごと野菜類を食べるようにするのも特徴です。穀類を精製しないだけでなく、他の食品も丸ごといただくのです。季節ごとに摂れる地元の作物を食べることをすすめています。サステイナブルな考えです。冬に夏野菜の生のトマトなどは食べないわけです。身体が冷えますから。

◆マクロビオティックの効果は?

癌の手術や治療の直後には、消化器官に負担の大きい食物繊維の多い玄米などは受け付けません。回復のための食事療法が必要なので、体調が落ち着いた時から始めたい人は始めるべきでしょう。

癌患者の方にとって、はっきりとしたポジティブなリサーチ結果がたくさん出ているのかと言うと、残念ながらまだデータ不足の状態です。しかし、以前の記事で説明した抗炎症作用がマクロビオティックを食べた癌患者で認められたという発表があります。(2)炎症が起きやすい状態は癌にとって非常にマイナスです。炎症が抑えられたという結果は注目すべき良い結果です。


そして、食事摂取基準との比較で必要な栄養素はほとんど取れることがわかりました。特に食物繊維や微量栄養素はたっぷりとれる食事法です。ただし、ビタミンDビタミンB12カルシウムが少ない傾向が認められました。(2)

また、イタリアで乳がんの再発率が下がったという研究結果もあります。(3)この結果は嬉しい結果ですが、再発率が下がったというのは、現在、癌を患っている人が対象ではないので注意が必要です。

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◆マクロビオティックのメリット

基本的にマクロビオティックは低脂肪で高食物繊維、砂糖は摂らず複合的な糖質を取り、基本はベジタリアンなわけです。そして、精神的に満たされた状態で過ごすように心がける!これは、どう考えても現代人の抱える生活習慣病の予防にとっても、ガンの発生の予防の観点でも良い影響があるはずです。多すぎる活性酸素の害から体を守るための成分が、野菜類やキノコにはたっぷり含まれているのは、以前述べた通りです。ただ、エネルギー不足による免疫力低下が起きた場合は、逆に健康に悪影響があり得ます。

10年ほど前のリサーチ結果ですが、マクロビオティックの食事を食べている人とそれ以外の人を比較したところ、血中脂質や血圧が低いことが認められ、循環器系疾患(心疾患など)の予防のためには有効であろうと結論づけています。そして、ガンの予防にも有効であることが示唆されたともあります。
しかし、その一方で癌のステージが進んだ患者さんを対象としたリサーチはほとんど無いので更なるリサーチが必要だと締めくくっています。そして、医学的な治療が遅れることにつながる懸念にも触れています。(4)

◆まとめ

鍋の中の陰陽

発生予防と治療は別という結論!

癌の発生予防の観点からは、プラスがあり得るのは確かなようです。野菜の中の抗酸化物質を取るというだけでなく、地元でとれた野菜や穀類を食べること、なるべく農薬を使わないオーガニックの食材を食べることなどは、悪いわけはないです。どんな人にも是非取り入れてほしいマクロビオティックの要素です。

一般人でも不足しがちですが、特にベジタリアンだと不足しないよう気を付けるべきビタミンDカルシウムビタミンB12については忘れずに!いつも、じゅうぶん摂取できるように気を付けていくことを忘れないようにしましょう。

しかし、癌の治療になる食事法なのかというと、無理があると言わざるを得ません。。。
新鮮な地元の質の良い野菜を食事に取り入れるなど、健康に役立つ部分を自分の食生活にしていくのは良いでしょう。マクロビオティックのコンセプトを上手に取り入れて利用するというのが賢い選択なのではないでしょうか。」

 

(1)Joelllyn Horowitz et al. The Macrobiotic Diet as Treatment for Cancer: Review of the Evidence. Perm J 2002 Fall,6(4)

(2)Brook E Harmon et al. Nutrient Composition and Anti-inflammatory Potential of a Prescribed Macrobiotic Diet. Nutr Cancer 2015,67(6)

(3)illarini A,  et al. (2012). “Lifestyle and breast cancer recurrences: the DIANA-5 trial”. Tumori 98 (1)

(4)Robert H Lerman  The macrobiotic diet in chronic disease. Nutr Clin Pract. 2010 Dec;25(6)

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