プラントベースとは??
◆プラントベースとヴィーガンやベジタリアンとの違い
植物性食品をベースにした食事っていう意味。
だから、ベジタリアンもその食事の中に入ります。でも、どちらかというとゆるベジみたいな食事です。
環境問題や健康を考えて、肉の消費量を減らしてもっと植物性食品を食べた方がいいという考え方が広まってきたのですが、以前からご紹介しているミートフリーマンデー(コチラをクリック)も似たようなコンセプトです。
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肉を食べないからと言って、フライドポテトとジュースだけ!
で健康になれるわけがないのは、誰でもわかりますよね。
だから、植物性食品なら何でもいいというわけではありません。
ハーバード大学のヘルスブログでは、このように説明されていました。
「プラントベースやプラントフォーワードという食事パターンは、植物を原材料とした食品に焦点を当てています。
果物や野菜だけでなく、ナッツ、種子、油、全粒穀物、豆類、豆も含まれます。肉製品や乳製品をまったく食べないベジタリアンやヴィーガンとは違います。
より多くの植物由来の食べ物を選択しているということです。」
だから、つまり、ゆるベジですね!
👉ヘルシーなゆるベジです。
◆プラントベースフードと呼べるギリギリの境界線は?
そうですよね。健康や環境のために、食事をプラントベースにしてみようと思っている人は、具体的な量と頻度を示して欲しいですよね。
日本では肉は、4つ足動物(Meat)の牛や豚も、鳥の鶏肉(Poultry)もすべて一緒に肉と呼んでいます。
ですが、特に制限することで健康や環境にプラスが大きいのは、4つ足動物(Meat)の方です。
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2017年にAmerican Journal of Clinical Nutrition で発表されたリサーチでは、3オンス(約85g)の肉(Meat)を週に3回食べるだけなら、血圧やコレステロール値に悪い影響は出ないという結果を発表しています。
この場合の肉は、ソーセージやハムなどの加工品は除き、牛肉や豚肉など肉そのものの重量での結果です。
85gの量がどの程度か、わかりますか?
肉野菜炒めのようなに、少しの肉をうま味として野菜料理を食べるような食べ方なら、満足できる量でしょう。
でも、焼肉やステーキなどとして食べるなら3口で終わる量です。それを週3回までです。(1)
2014年にアメリカの心臓学会で発表された結果もお伝えしておきましょう。
45~79歳の人において、1日に肉類(牛や豚、肉加工品も含む)を1日に75g以上食べる人は、25g未満しか食べない人に比べて、心臓病になるリスクが28%高くなっていたというのです。(1)
アメリカでは40歳や50歳と言った若い年齢でも心臓病で亡くなる人の話をよく聞きます。日本の食生活が、そういう国の食事に近くなっているのは怖いことです。
そうなんです。
1回75~85gの豚や牛を週3回まで!
が、プラントベースと呼べるギリギリの境界線のようです。
プラントベースの食事に切り替えようという人は、一気にではなくてもいいのです。
でも、4つ足の肉の量と頻度を相当抑えないと効果は期待できないことがわかります。
もう一つ、注意点があります!!
これらの結果はアメリカでの話です。
日本人は、アメリカ人とは違う遺伝子変異があることがわかっているので、更に注意が必要なんです。
◆日本人に多い遺伝子変異を考えた時の問題点
FADS1という遺伝子の変異が日本人の6割にあることがわかっています。
この変異があると心筋梗塞のリスクが1.3倍、脳梗塞のリスクが1.29倍になることがわかっているんです。(2)
日本人は、縄文時代から魚を食べてきました。
魚からEPAやDHAと言ったn‐3系脂肪酸(詳しくはこちらをクリック)を摂取してきましたよね。EPAやDHAは、動脈硬化の予防や神経回路の維持、DNA合成などにも重要な働きがある脂肪酸です。
アマニ油やエゴマ油の中のα‐リノレン酸からEPAやDHAは体内で合成できるので、必須脂肪酸(食品で摂る必要があるもの)には指定されていません。
しかし、この体内の変換がうまくいかない人が日本人には大勢いるということなんです。その結果、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がってしまうのです。
和食中心の人は、魚や海藻などからある程度、EPAやDHAを摂れているでしょう。
一方、肉中心になっている日本人の食生活の心臓や脳血管に対する病気のリスクは、アメリカ人とは比べ物にならないほど高くなってしまうのです。
ベジタリアンの人は、相当しっかりα‐リノレン酸をエゴマやアマニから摂らないとすぐに不足してしまう可能性があるので、更に注意が必要です。
植物性油脂のα‐リノレン酸からEPAやDHAに体内で変換するための酵素活性が非常に低い人が15%程度もいます。(低めな人が45%で合計60%の日本人が酵素活性が低い)
非常に低い人は、EPAやDHAのサプリメントを摂るか、魚だけは食べるペスコベジタリアンという選択肢も考慮する必要があると思います。
DHAが慢性的に不足気味だと、心疾患や脳梗塞のリスクが上がるだけでなく、アルツハイマー型認知症のリスクも上がることがわかっています。(3)
高齢化している日本において、肉食に傾いて魚から離れた食生活になっていることは、見直す必要がありますね。
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◆最後に
動脈硬化を防止するための栄養素としては、葉酸もあります。ビタミンの1種ですが、これは葉野菜や豆類、果物に多いので、プラントベースの食事にすると摂取量は自然に増えるので嬉しいですね。
もちろん、多くの人が知っているように内臓脂肪が多いタイプの肥満だと一気に動脈硬化のリスクが上がります。身体に良いとされる食べ物でも食べすぎて肥満すれば、健康を損ないます。
上記のもの以外にも生活習慣病と関連する遺伝子の変異はいろいろ見つかっています。
「肉を食べ続けて90歳でも健康な人がいるじゃないか!!」
と言ったことを言う人がいるのですが、皆が同じ体、同じ遺伝子ではないのです。
自分の家系を見て、どうやら動脈硬化が進みやすそうだなあと思った人は、遺伝子チェックをしてみるのもいいですが、とにかく食生活を見直しましょう。
もちろん体重管理や適度な運動をすることなどもとても大事です!
家系的に心筋梗塞な脳梗塞のリスクが高そうな人におススメ
(1)The right plant-based diet for you. Harvard health publishing, March 30,,2021
(2)Yang RQ et al. Association of two polymorphisms in the FADS1/FADS2 gene luster and the risk of coronary artery disease and ischemic stroke. Int J Cln Exp Pathol. 8(6) 2015
(3)Koietsko B et al. FADS1 and FADS2 polymorphisms modulate fatty acid metabolism and dietary impact on Health. Annu Rec Nutri, 39;21(2019)