ベジタリアンになるとスポーツのパフォーマンスは落ちないか心配な人へ
よく「お肉を食べないと元気も出ないし、力も出ないのよ~」というセリフを聞きます。
その考え、そんな気がしているだけである可能性が高いです~~
メタボリックシンドロームなどの予防効果から、健康増進に役立つベジタリアン食も、本格的なアスリートのパフォーマンスにおいてはどうなのか?気になる人も多いでしょう。
★比較した結果は?

本格的なアスリートを対象に調べた研究があります。ベジタリアンとノンベジタリアンの最大酸素摂取量(有酸素運動能力=持久力の指標となる)とレッグエクステンションの最大重量(筋力)を比較しています。食事記録も1週間取って、栄養分析した結果、たんぱく質摂取量は、ベジタリアンの方が有意に少なかったことがわかりました。どちらも体重1kgあたり1g以上1.5g以下の範囲でした。つまり、不足は無いということです。
結果は、最大酸素摂取量は女性アスリートの比較ではベジタリアンの方が有意に多いという結果でしたが、男性では有意差がありませんでした。レッグエクステンションの結果には、有意な差は出ませんでした。(1)
この研究結果においてわかることは、ベジタリアン食を食べていることで、有酸素能力などを損なう可能性は非常に低いということ。
ベジタリアンでもノンベジタリアンでも、アスリートとしてのパフォーマンスを上げるには、栄養バランス良い食事を摂ることが大事であって、動物性食品から摂らねばならないということはないわけです。
★不足しやすい栄養素
ただし、クレアチンの筋肉中の貯蔵量がベジタリアンにおいて少ない傾向があることは以前から指摘されています。そのため、クレアチンのサプリメントの摂取によって、より筋量を増やしやすくなることが、特にベジタリアンにおいて顕著であるという論文は散見されます。(2)
鉄が不足しやすいのは、特に持久系アスリートにおいては共通したリスクなので、ベジタリアンは特に気を付けるべきだというのも指摘されています。(2)
鉄については、以前、気を付けるべき栄養素の一つとして紹介しましたね。
最後にひとこと!
「自分の信条としてベジタリアンでいることを選んでいるアスリートは、不足しやすい栄養素などについてもよく理解して、バランス良い食事、適切なエネルギー量の摂取を心掛けるようにすれば、パフォーマンスの観点からも大丈夫です。
日本ではまだ理解の進んでいないベジタリアンの食事について、アスリート自身もその指導者も、深く理解していけるようにまた、今後もいろいろな論文結果を紹介していきたいと思っています!(^^)!」
「食品に含まれる栄養素を調べる時のための1冊!→「食品成分表」 この度、8回目の大きい訂正があり、八訂版が売り出されます!糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの含有量を調べたり、食品を比較してみたりする時に、やはり本の形が便利です。電子書籍やネットではなく、食品成分表だけは、本が一番!という結論に私はいたっております(^^♪」
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(1) Heidi M Lynch et al. Vegetarian and Omnivore Endurance Athletes: A Cross-sectional Study. Nutrients 2016 Nov 15;8(11)
(2) Mojtaba Kaviani et al. Benefits of Creatine Supplementation for Vegetarians Compared to Omnivorous Althletes: A Systematic Review. Int J Envion Res Public Health 2020 Apr 27;17(9)