ベジ栄養学

果糖ブドウ糖液糖は危険?太る?フルクトースって血糖値が上がらないのにダメなの?

身近な甘味料の問題点を探る!

はつみ顔管理栄養士 はつみ

果糖ブドウ糖液糖

清涼飲料水やエナジードリンク、スイーツや調味料にも多用されている甘味料!
内心、身体に悪いかもと気にしながら飲んでいる人も多いのでは?
事実を知って、飲む頻度を自分で決めて飲んだ方が美味しいです!
知らない時のモヤモヤ不安は、サヨウナラ!

・果糖ブドウ糖液糖と砂糖は違う?
・何がどう良くないの?
・果糖とブドウ糖の代謝は、どう違う?
・果物を食べるのと果糖を摂るのは、やっぱり違う?

そんな疑問に答えていきます!
どういう注意が必要になるのかがわかるようになります。

★果糖ブドウ糖液糖って何?砂糖水じゃないの?

清涼飲料水
異性化糖という甘味料の1種です
砂糖(成分的にはショ糖)とは違います。

異性化糖とは、トウモロコシなどのでんぷんに酵素を使って作った糖です。でんぷんは分解されるとブドウ糖になります。ブドウ糖を果糖に変えることもできる酵素があるので、果糖とブドウ糖の割合を自由に混ぜた液体の糖分を作ることが出来るのです。

ブドウ糖と果糖の割りあいの違いによって、名称が変わります。
・果糖の方がブドウ糖より多い⇒「果糖ブドウ糖液糖」
・ブドウ糖の方が果糖より多い⇒「ブドウ糖果糖液糖」
になります。

清涼飲料水やスイーツでよく見かけるのは、「果糖ブドウ糖液糖」ですよね。つまり、果糖の方が多い液体の糖分がよく使われています。

果糖もブドウ糖も甘いのですが、果糖は冷やすと砂糖より甘味が強く感じられるんです。そのため、冷たい状態で飲んだり食べたりするものには、果糖ブドウ糖液糖が使われています。果糖の甘味は、すっきりしていて、爽やかな感覚もあります。そのため、味覚的にも好まれて使われるようになりました。

消化する必要がない1分子の状態になっていてそのまま吸収されるのが、
・ブドウ糖
・果糖
です。
単糖類と呼ばれます。

一方、砂糖はブドウ糖と果糖が1分子くっついる2分子の少糖類です。小腸で1分子に分解されてから、吸収されます。

★異性化糖は、砂糖よりも悪いの?

老化に悩む人

果糖の割合が多い異性化糖の果糖ブドウ糖液糖
砂糖の代替品として、世界中で使われるようになっていきました。でんぷんから作ることが出来るので、サトウキビや甜菜糖から作る砂糖より、安定的に入手できるようになったという背景があります。

大量に消費するようになっていって、問題がわかってきました。
特に果糖を大量に摂ることによる問題がわかってきたのです。

どんな問題が指摘されているのでしょうか?
主に2つあります。

1,太りやすい&メタボリスクup

果糖を摂ると、皮下脂肪も増えますが、特に内臓脂肪が増えやすいのです。内臓脂肪が増えると生活習慣病のリスクが上がることがわかっているので大問題です!果糖を含む飲料を飲むことで、2型糖尿病のリスクが上がることが、指摘されています。(1)(2)

肝臓の脂肪が増えることも指摘されています。脂肪肝になってしまうと、肝機能は落ちていきます。

砂糖より、ブドウ糖より、果糖が肥満の原因になりやすいといわれています。砂糖が良いわけではないのですが、果糖は更に悪かったという結果が報告されています。(1)

被験者を2群に分け、一方はエネルギー比25%の高果糖飲料を、もう一方はブドウ糖だけを使用した飲料を10週間飲み続けてもらった。皮下脂肪、体脂肪、総脂肪の変化を分析したところ、果糖群で明らかに内臓脂肪、総脂肪が増加した(データ:Stanhope KL et al. J Clin Invest119:1322-1334)

2,糖化が進む

果糖は、ブドウ糖より血中でたんぱく質とくっつきやすいことがわかっています。その結果、糖化が進み、AGEs(終末糖化たんぱく)を多く作り出すことがわかりました。
AGEsは、老化を進めてしまう物質だとわかっています。老化に関わる病気のリスクはすべて上がります。(1)
見た目的にも老化が進むので、肌はくすみ、老けた印象になっていきます。

果糖の糖化比較グラフ

リバーシティクリニック東京HP

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★ブドウ糖と果糖は体の中で代謝が違う

同じ1分子の単糖類ですが、小腸で吸収されてから、代謝経路が違うんです。ちょっと難しい話ですが、知りたい人もいると思うので、わかりやすく解説します。

違い①:インスリンを必要とするかどうか
・ブドウ糖は、血中に入ると血糖と言われますが、筋肉などでエネルギーとして使うために膵臓から分泌されるインスリンが必要になります。筋肉に取り入れたら、動くためのエネルギーとして燃やされます。余ってしまったら、中性脂肪に変えて脂肪組織にため込みます。

・果糖は、インスリンを必要としていません。ほとんどの果糖は、肝臓で代謝されます。血糖値を上げにくいという特徴があるのですが、過剰になると肝臓で中性脂肪に変換しやすいという特徴があります。

違い②:血糖値を上昇するかどうか
・果糖は、ブドウ糖に体内で変えることができます。でも、本当にブドウ糖が必要な時にのみ、変えるシステムになっています。(←糖新生)
だから、果糖を摂ることで血糖値を上げることにはなりません。
果糖は、ブドウ糖のように吸収されてすぐに血糖値の上昇につながるわけではありません。これが、昔、果糖の方が体に良いと誤解されていた理由の一つです。

違い③:吸収速度が違う
ブドウ糖の方が、果糖より吸収速度が速いです。ブドウ糖は、摂取したらすぐに血糖値が上がります。糖の運び屋が体内に数種類あるのですが、そのシステムの違いのせいです。
(果糖は濃度勾配を利用した拡散輸送。ブドウ糖は能動輸送)

 

★果物の中の果糖は大丈夫?

果物
・果糖ブドウ糖液糖は、清涼飲料水やスイーツなどの中に添加されています。その他の成分は、他の甘味料や香料などが中心です。

・果物は、果糖も含みますが、その他の成分も多いです。
 果糖だけでなくブドウ糖やショ糖も併せ持つ果物が多いですし、実際の糖度はスイーツなどの数分の1です。

果物の中の成分は、良い成分が多いです。

・水溶性食物繊維(ペクチンなど)
・ビタミンC
・カリウム
・ポリフェノール
・カロテノイド類

などが例として挙げられます。

水溶性食物繊維は、血糖値の上昇を抑え、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を少なくすることにも役立っています。
ビタミンCやポリフェノール、カロテノイド類は、抗酸化作用が強く、細胞レベルで老化を防ぎます。カリウムは、多すぎるナトリウム(塩の成分)の排泄を促します。良いものだらけです!

果物は、2型糖尿病の人だったとしても適切な量を食べるように言われます。食べ過ぎは良くないけれど、食べないのはもっと良くないのです。

果糖ブドウ糖液糖と果物と摂るのは、全然違います。果物を汁だけなどではなく、丸ごと食べるようにしましょう!

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★まとめ

果糖ブドウ糖液糖!
良いところは見つかりませんでしたね。。。
・太って
・メタボリックシンドロームになって
・早く老ける
ということがわかりました。

果糖を清涼飲料水やエナジードリンクで飲んでも、その日にすぐに具合が悪くなるわけではありません。
時々飲むのは、問題ないでしょう。
でも、時々が⇒度々になり⇒毎日になったら問題ありです。

糖分を多く含むものには、人間の脳は依存しやすいことがわかっています。
特に小さい子供の脳は、未熟なので問題が起きやすいです。
暑い日の外出時などに汗をかいても、気軽に自分の子どもに清涼飲料水を与える管理栄養士の親はいないです。どう悪いか、わかっているからです。
菓子を食べる、ジュースを飲む、アイスを買い置きしてお風呂上りに食べるなどは、習慣にしなければ習慣にはなりません。習慣になっていたとしても、自分でその習慣を変えることは可能です。

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参考文献:

(1)Toop CR, et al. Fructose Beverage Consumption Induces a Metabolic Syndrome Phenotype in the Rat: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2016. PMID 27657120
(2)Hoare E, et al. Sugar- and Intense-Sweetened Drinks in Australia: A Systematic Review on Cardiometabolic Risk. Nutrients. 2017. PMID 28956823

 

 

 

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