糖化現象:AGEの害について
「糖化現象」
セカンドミール効果の記事で少し触れましたが、あまり聞いたことが無いという人もいるでしょう。
活性酸素による体の酸化現象(←過去の記事を参照)と並んで、老化や加齢に伴う疾病と深く関りがあることがわかっています。
体内の「焦げ」現象とも言われる糖化について、下記の3点のことを見ていきましょう!
①AGEって何なのか
②どんな老化現象と関係するのか
③防ぐためにはどうすると良いのか
2014年にAGE(食事の糖化最終生成物)の影響についての大事な会議が開かれました。
AGEが、慢性疾患の原因となる酸化ストレス現象や炎症が起きやすい状態を誘発することが明らかになったのです。
炎症が起きやすい体が、日本人の死因の上位のガンや循環器疾患とも関連しているので、とても重要な発見でした。
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AGE(糖化最終生成物)とは?
糖とたんぱく質のアミノ酸が反応してできる化合物の総称です。
糖質がたんぱく質と結びつく「糖化」ですが、細胞を劣化させます。糖化によって作られる糖化最終生成物:AGEを作り出します。
これが、老化促進物質なので、様々な病気の原因となります。
・作られる場所は、体外と体内と2種類あります。
<体の外で>
肉や魚やクッキーなどを焼いた時にこんがりときつね色になり良い匂いがしますよね?食品に甘辛いたれを塗って焼いたり揚げたりすると香ばしい良い匂いがしますよね?あれ、糖化だったんです。アミノカルボニル反応(メイラード反応ともいう)という反応です。つまり、加熱料理の過程で作られる糖化物質もあります。
<体の内で>
それに加えて、体内で生成される糖化物質もあります。人間の身体の中で「焦げ現象」が起きるのです。誰でも少しは起きますが、非常に糖化現象が起きやすい体の人がいます。
それは、血糖値が高い状態がよく起きている人です。血糖はブドウ糖です。血糖値が高い状態があると、ブドウ糖と血中のたんぱく質とが結びつきやすいからです。糖尿病の人だけでなく、食後に急激に血糖値が上がるような食べ方をしている人は要注意です。
度々、GI値の話や食後血糖値のこと(←過去の記事参照)を書いていますが、減量中の人だけでなく、誰もが食後血糖値が急上昇しない食生活を送ることは大事なのです。
AGEが蓄積したら、どう悪い?
酸化ストレスと炎症に関わる病気のリスクは、全て上げてしまいます。AGEは、酸化ストレス(酸化により体に有害がある作用)を引き起こすだけでなく、酸化ストレスでAGEが更に作られやすくなるといった悪循環があることもわかっています。(1)
具体的には、心疾患、糖尿病、慢性腎臓病、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症、その他あまり知られていない神経変性疾患の病気の原因となり得ることがわかっています。(1)
炎症の起きやすい体になることにより、リスクが上がる疾患には、ガン、心臓病、糖尿病、関節炎、うつ病、アルツハイマー型認知症などがあります。(2)
見た目が、年齢以上に老けている人は、体内の糖化による老化も早く進んでいる可能性があります。皮膚のシミやしわは、糖化ストレスによりできやすくなることもわかっているからです。(1)(3)
動脈硬化が進む、白内障との関連も指摘されている糖化!こまった現象です。
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糖化を予防しよう!
いくつも糖化予防策があります!(1)
出来ることからやってみましょう!
<1>特に主食において、GI値の低い物を選ぶことで、食後の血糖値急上昇を抑える
<2>野菜や乳製品から食べ始めること、主食だけでなくおかずを一緒に食べることで、食後血糖値の急上昇を抑える
<3>調理は、揚げ物や炒め物の頻度を減らし、煮る、蒸す、茹でるなど温度の低めの調理法にする
<4>たんぱく質と脂質の多い食品、特に動物性食品を水分を加えない調理法(グリル、揚げるなど)で料理する頻度を減らす
<5>野菜や果物を食べることで、ポリフェノールを摂取する
<6>たんぱく質や脂質が多い食品、その他の食品を高温調理(グリル、上げるなど)したい時は、あらかじめ酸性のタレに漬けておく
<7>糖分を含む飲料や菓子類を、度々摂らない
<8>水溶性食物繊維を摂取して、食後血糖値の上昇を抑える
<9>20~60分/日、週に3~5回、運動することで、糖代謝を改善する
<3>の調理法は、食品中に作られるAGEの量がずいぶん違うことがわかっています。例えば、同じジャガイモを食べる時にもフライドポテトにして食べるのに比べて、茹でる調理法では、生じるAGEの量は40分の1です。ものすごい差です!
<4>については、ベジタリアンの人はホッとすると思いますが、ベジタリアンはノンベジの人より心疾患やガンの発生率が低いという記事(←記事参照)を以前書きましたが、AGEも要因になっているのです。(1)
食品中のAGEすべてが体内に取り込まれるわけではないのですが、数パーセントが取り込まれた後、長期間体内にとどまると言われるので、調理によって生じるAGEは無視できません。
<5>のポリフェノールについては、体内でのAGE産生を抑えることになります。大変有効な方法です。これもベジタリアンの人は、大抵、多めに野菜や果物を食べているので、嬉しい結果ですね。
<6>のマリネしておくという調理法が昔からありますが、酢だけでなくワインや日本酒も酸性です。pHを下げることで、食品中で作られるAGEの量が少なくなることがわかっています。(1)
<7>の甘い飲料は栄養的に何も良いことは見つからないのです。一瞬、血糖値が上昇した時の気分の良さと引き換えに失うものは大きいです。
<8>の水溶性食物繊維については、βグルカンを含む大麦やキノコ(←記事参照)、オートミールや海藻、果物の摂取をおススメします。野菜も水溶性食物繊維を含むものも多いので、多くの植物性食品を食べることは大事です。
<9>の運動は、良いことばかりです!現代人の生活に少しでも活動量を増やすことで防げる病気はたくさんあります。メタボリックシンドロームだけでなく、癌や認知症の予防にも効果があると厚生労働省の運動指針でも示唆されています。
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(1)Jaie Uribarri et al. Dirtary advanced glycation end products and their role in health and disease. Adv Nutr. 2015 Jul 15;6(4)
(2)Foods that fight inflammation. Harvard Women’s Health Watch August 29,2000
(3)日本化粧品技術者会「皮膚老化概論:酸化ストレスと糖化ストレス」日本化粧品技術者会誌53(2)、83-90、2019