ポートフォリオダイエット: The Portfolio diet
まだ、比較的新しい食事法なので知らない人も多いですが、メタボ対策のための注目の食事法です!効果は実証済です!
なぜならば、日本で脂質異常症と診断されたLDL-コレステロール値(いわゆる悪玉)が高い人がたくさんいるから!その上、比較的健康的な食事をしている人の中にも血中コレステロール値の高い人がいて、そういう人にとって救世主の食事法だからです。
トロント大学のジェンキンズ博士によって開発されたこの食事は、プラントベース食をさらに進化させたものです。いくつかのカギとなる成分をとるようにします。
この食事療法、悪いコレステロールを下げる効果が高いことが証明されています。
ついでに抗炎症作用もある食事法であると報告されていて、注目なんです。日本でもずっと死因2位の心疾患のリスクを低減する効果もあります。
家族性高コレステロール血症の人以外では、薬の代用になり得るとされるので、とにかく一度試してみてほしいです。
実は私も困っていたんです💦
20代の時から基準値の上限をうろうろする私のLDL-コレステロール値!(悪玉と言われるのは、多いと動脈硬化のリスクが上がるからです😢)
ベジタリアンで、改善するところがあまり見つからない食事をしていても、私のようになかなか下がらない人もいるんです。そういう人にもぜひ試してほしいのが、ポートフォリオダイエット!
では、さっそくどういう食事なのか、見ていきましょう!
全部いっぺんにできなくても大丈夫!
一部だけでも取り入れることを検討してみてください。
★ポートフォリオダイエットの特徴
1日の食事で以下の4つを摂取します。
👉1項目実行するごとに、5~10% LDL-コレステロールの減少が期待できるとされます。すべて実行することで、30%の減少が期待できます。
①植物性ステロール 2g
②ナッツ 45g
③植物性たんぱく 50g
④水溶性食物繊維 20g
①植物性ステロールとは?
・種実類
・植物性油脂
・全粒穀類
・ナッツ
・豆
これら食品に、天然の植物性のステロールが含まれています。
コレステロールと似た構造の化合物で、腸でのコレステロールの吸収を抑える働きがあります。西洋風の食事を摂ると少なくなる傾向があるとされています。つまり、かつての日本人より、現在の日本人は摂取が減っている成分とも言われています。
いくつかの疫学研究で、植物性ステロールを少なくとも0.8g、毎日摂取すると血清LDL-コレステロールが低下することが実証されました。(参照資料)
ポートフォリオダイエットでは、2g/日の摂取を推奨しています。これは、食品からすべて摂りきるのが難しい量です。
ステロールを添加した強化食品やサプリメントを利用することになります。ステロールの含有量は、日本の食品成分表には載っていません。
産地や種類、精製方法などで含有量が大きく違ってくることも指摘されています。
2g=2000㎎を毎日摂るのは、食品からだけでは難しいのが表を見ていただくとわかると思います。
★食品 | ★植物性ステロール(㎎/100g) |
小麦胚芽油 | 1350 |
コーン油 | 954 |
ゴマ油 | 405 |
ピーナッツ油 | 280 |
大豆油 | 226 |
アーモンド | 150 |
ヘーゼルナッツ | 116 |
ピスタチオ | 100 |
くるみ | 63 |
ピーカンナッツ | 38 |
カシュ- | 33 |
オーツふすま | 2133 |
全粒小麦のパン | 11 |
玄米 | 33 |
白米 | 12 |
豆(キドニー、ネイビー) | 24-40 |
エンドウ豆 | 29-35 |
レンティル豆(レンズマメ) | 78-85 |
参考文献:Garcia-Llatas, G., and Rodriguez-Estrada, M. T. (2011). Plant sterols in food: Analytical methods and quantitative analysis. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 59(23), 13103-13111
日本では、マヨネーズ等に植物性ステロール強化食品があります。
サプリメントも手軽な値段であるので試せます。
②ナッツ
特に飽和脂肪酸の多い肉類、乳脂肪、パーム油などをナッツに置きかえると、効果が高いことがわかっています。心疾患の予防のためにナッツが良いことは昔から指摘されていたのですが、量的な指示があるのがこの食事法の特徴です。
なるべく塩味のついていないナッツ類を45g食べましょう。
ナッツの種類は、何種類かを組み合わせると良いと言われます。
片手いっぱい分くらいを食べると良いとも言われていたのですが、ポートフォリオダイエットの45gというのはそれより多いですね。日本では、90~100g入りの袋で売られていることが多いので、その半袋分!多い!毎日はちょっと無理!と私は思いましたが、皆さんはいかがですか?
100%ピーナッツバターやアーモンドバターを利用するのも現実的でしょう。とりあえず、毎日少しずつでもいいので取り入れるくらいからスタートしてみては?と思います。
ナッツで頭が良くなるという最新の研究結果が出た!どの種類が一番効果大⁈
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③植物性たんぱく
動物性のたんぱく質源を植物性に置き換えるのは、大豆製品の豊富な日本ではそれほど難しくないのでは?
と思いましたが、肉をあきらめたくない人にとっては、ハードルが高いかもしれません。たんぱく質も、他の栄養素と同じく、適量が良いのです。摂り過ぎが長期にわたると、腎臓に負担がかかります。やはり、追加ではなく置き換える必要があります。
大人の場合、たんぱく質は体重1㎏あたり1g弱/日でじゅうぶんです。つまり、50㎏の人なら50gでじゅうぶんということ。
食事摂取基準の推奨量(18~64歳)は、男性65g、女性55gです。
ポートフォリオダイエットの植物性たんぱく質で50gということは、主菜(メインディッシュ)は、ほぼ豆と大豆製品で!ということになります。
実は穀類にも結構な量が含まれているので、主菜のたんぱく質だけをカウントしていはたんぱく質は過剰摂取になりがちです。⇒詳しくはコチラ!
★大豆食品 | ★量 | ★たんぱく質(g) |
納豆納豆 | 40g(1パック) | 5.8 |
木綿豆腐/絹ごし豆腐 | 100g(1/3パック) | 6.7/5.3 |
油揚げ | 15g(長方形1/2枚) | 3.5 |
厚揚げ | 80g(大1/3枚)) | 8.2 |
高野豆腐 | 33g(中2枚) | 16.4 |
きな粉 | 7g(大さじ1杯) | 2.4 |
大豆蒸し | 40g | 6.3 |
大豆ミート(乾燥) | 15g(大さじ2杯) | 2.5 |
枝豆(ゆで) | 60g(ひとつかみ) | 5.9 |
無調整豆乳 | 200ml(1カップ) | 6.8 |
参考文献:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
私は、朝食に納豆と汁ものの中などに豆腐や油揚げを入れているので、朝だけで10g程度の大豆たんぱく質を摂っています。
残りの40gを昼と夜で20gずつ!
そんなに簡単ではないですね、、、。以下の記事に毎食20gのたんぱく質を摂取するための工夫をまとめています。参考にしてみてください。もちろん、プラントベース食です。
豆の中で、たんぱく質が多いのは大豆(黒豆を含む)です。それ以外の豆では、レンズ豆(レンティル)が多いです。小豆などはでんぷん中心であまり多くありません。
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④水溶性食物繊維
水溶性と不溶性がある食物繊維。水溶性のものは、腸内で水分を含んでふくらみ、コレステロールを排泄するのに役立ちます。
・限られた穀類
・果物や野菜
・きのこ
・海藻
・豆類
が水溶性食物繊維源です。
1日10~25g摂るには、主食の選び方が大事です。
野菜類には、不溶性の方が多いですが、水溶性も含まれています。
水溶性の方が多く含まれる食品は、大麦とオートミールくらいです。
海藻には含まれているのですが、日本の成分表にはデータがありません。海藻のぬめり成分のアルギン酸は代表的な水溶性食物繊維です。
マイタケや大麦に多いβグルカン(⇒コチラの記事を参考に)や、キクイモのイヌリン(⇒コチラを参考に)も水溶性食物繊維です。
食品(100g) | 水溶性食物繊維(g) |
大麦(押麦・乾燥) | 4.3 |
オートミール | 3.2 |
納豆 | 2.3 |
キウイフルーツ(緑) | 0.6 |
ごぼう | 2.3 |
参考文献:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
白米や白いパンや麺を食べていると、水溶性食物繊維を目標の10~25g摂ることなど、無理だとわかります。
しかし、主食に大麦とオートミールを取り入れた上で、主菜に大豆製品、たっぷりの野菜やキノコ、海藻を食べていれば、10g以上にはなります!
ナッツにもそれほど多くはないものの、水溶性食物繊維は含まれています。
まとめ:ポートフォリオダイエットを日本でするには
現実的に4つの要素を入れ込んだメニューはどんな感じでしょうか?
食事例です。
朝食:
大麦をたっぷり入れた玄米
みそ汁(海藻、豆腐、きのこ)
納豆
海苔
季節の果物
豆乳ヨーグルト、チアシード入り
昼食:
全粒粉パンのサンドイッチ
(100%ピーナッツバターとバナナ)
サラダ(ミックスビーンズ、根菜、トマトなど、オリーブ油のドレッシング、またはステロール強化マヨネーズ)
間食:
ミックスナッツ
グラノーラ(オートミール、ドライフルーツ使用)
豆乳ラテ
夕食:
大麦など雑穀を入れた玄米、
またはオートミール(硬めに仕上げる)
厚揚げと野菜ときのこの炒め物
モズク酢
きんぴらゴボウ
「こんな感じでしょうか?
あり得るメニューに感じていただけると良いのですが、どうでしょう?取り入れられやすいと感じた項目から試していただきたいです。ナッツや豆類にアレルギーがある人以外なら、今日からトライできます。
完璧に出来なくても、やっただけの結果が体に現れます。
私も出来る範囲で現在実行中です♬」
参考資料:
・The Portfolio Diet: University of TORONTO
・U of T news:Portfolio diet helps to lower many risk factors for heart disease, U of T study finds