ベジ栄養学

【肉食べ過ぎで病気になる!?】太る、体臭、下痢等の不調⇒理由と対処は?

塊肉のイラスト(脂身あり)

はつみ顔管理栄養士 はつみ

肉をたくさん食べている時はいいけど、内心その後の結果を心配する人もいます。

翌日にすぐ出る問題には>
・体臭が臭くなる
・胃腸の不調(腹痛、下痢、胃もたれ)になる
・おならが臭くなる
・便が黒く固くなる
・肌荒れ

中長期的に出てくる問題には>
・太る
・痛風発作
・大腸がん等のがん
・動脈硬化による心疾患、脳血管疾患

  ↓  ↓  ↓
不安になる嫌な問題ばかりですよね。
この記事の中で、以下のことを目標にしています

★問題になる肉の量を把握して、不調を回避
★不調の原因物質やメカニズムを知って、対処できるようになる

様々な研究論文から見えてくる問題点と解決方法をわかりやすく解説します。世界中の研究の質は、ここ数十年で驚くほどレベルアップしました。
最新研究を30年追って見続けた管理栄養士、渾身の記事です!

 

肉の食べ過ぎの問題点:成分別に違う

まず、前述した短期的&中長期的な肉食べ過ぎで起きる問題点は、気のせいではありません。関連が実証されています。(1)

肉はたんぱく質源ですが、たんぱく質だけが含まれているわけではないです。その他の成分にも問題になるものがあります。

また、肉をたくさん食べると、その他の食品を食べる量が減りますよね。その結果、摂ると良い成分の摂取量が減ります

それらがすべて総合的に、死亡率を押し上げることが指摘されています。
特に問題となるのは、赤い肉(red meat)と言われる4つ足動物の肉です。牛、豚、羊などです。鶏肉や鴨肉(家禽)を食べるリスクは低いのは、様々なところで検証されています。(1)

今回も、主に赤い肉の食べ過ぎによる問題点の記事として考えてください。

豚バラブロックのイラスト

肉の成分① 飽和脂肪酸やコレステロール

取れば取るほど、動脈硬化が進みます。血中総コレステロール値が増えて、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患になりやすくなります。

飽和脂肪酸が多く含まれる脂質は、室温で固体です。不飽和脂肪酸が多いと液体になります。どちらかだけを100%含む脂質はありません。どちらの方が多いかという話です。

牛脂は、豚脂(ラード)より飽和脂肪酸の量が多いので、要注意です。日本人は霜降り肉が好きですから。乳脂肪やパーム油(加工油に多用)にも多く含まれます。

食事摂取基準の中で、エネルギーの7%未満を目標にするようにとあります。なるべく少ない方が良いということです。

牛肉リブロース100gに飽和脂肪酸が約15g含まれます。
2000kcal/日摂取する人の7%量は、ちょうど15g位になります。
つまり、100gの牛肉が目標とする上限量になります。しかし、これはその他の脂質を一切取らなかったとしての計算です。

肉に含まれる脂質には、コレステロールもあります。脳神経、細胞膜成分、ホルモンの原料になるなど大事な成分です。肝臓で作っているのですが、食べることも可能です。食べる量が多いとある程度までは、体内生成量を減らして調整できます。飽和脂肪酸をたくさん摂取すると、体内生成量が増えることがあります。

食事摂取基準では、すでに脂質異常症になっている人は、コレステロールの摂取量を200㎎/日未満にするようにとあります。赤い肉には、飽和脂肪酸もコレステロールも両方含まれています。
牛肉100g中に約70㎎程度のコレステロール含まれます。
卵黄の方が多くコレステロールを含みます。(鶏卵1個で約250㎎含有)
1日の総量を把握して食べるようにしたいですね。

飽和脂肪酸は、消化するのが大変です。胆汁により乳化し、膵液によって消化して小腸で吸収されます。胆汁は、肝臓で作られ濃くして胆のうに貯蔵してあります。朝は、結構溜まっているのですが、1日にを通して油脂を度々食べていれば、使ってしまっているので、夜に大量にこってりした肉料理を食べると、消化しきれないことがあるわけです。その結果、腹痛、下痢に見舞われる可能性があります。肉のたんぱく質は胃酸をたくさん分泌するので、胃酸と粘液の出るバランスを崩して胃の不調になる場合もあります。

この胆汁をたくさん分泌させることが、大腸がんのリスクを上げるメカニズムがわかっています。胆汁は大腸に入り、悪玉菌がいると酸化され二次胆汁酸になります。これが、発がん物質なんです。だから、脂質の多い赤い肉を食べる人の大腸がんリスクが高くなるという結果が出る研究が多く見つかります。(8)

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肉の成分②たんぱく質

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アミノ酸スコア100の良質のたんぱく質を含みます。不可欠アミノ酸を全て含みます。
牛肉100g中に17g程度のたんぱく質を含みます。
1日のたんぱく質の必要量は、体重1kgあたり0.8~1.0g程度と考えてください。50kgの人なら50gでじゅうぶんです。

肉だけで摂るわけではないですよね。ご飯にもパンにもたんぱく質を含むので、総合でこの量でじゅうぶんだという事です。(ご飯1杯150gに4g弱、食パン1枚に5g程度)
多すぎる方が良いということはありません。

多すぎるたんぱく質は、身体の材料としてではなくエネルギーとして燃やしたり、体脂肪にしてストックされたりします。エネルギーとして燃やす際に、窒素がゴミとなり、この処理に肝臓と腎臓が大忙しになります。
腎臓の弱い人が、長期にたんぱく質を摂取することは避けた方がよいでしょう。慢性腎臓病の人は高齢化に伴い増えているので、腎機能が低下している人は気を付けてください。(2)

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また、肉にはリンと言う無機質も多く含まれます。肉を過剰に摂るとリンの過剰摂取の原因になります。その結果、尿中カルシウム排泄量が増えるので、尿路結石や骨粗鬆症のリスクが上がる可能性が指摘されています。(3)

動物性たんぱく質は分解されるとアンモニア、インドール、硫化水素など腸内の匂いの素になります。アンモニアは肝臓で無害な尿素になり排泄されるはずです。しかし、過労などで肝臓が弱っている時には、呼吸や汗に出てしまうこともあります。

肉を食べる量が多いと、皮脂臭が強くなります。脂っこい肉を食べると皮脂量も増えるので、一部の皮脂が酸化し、なおさら臭くなりやすいです。

便が黒くなったり、臭くなったりするのは嫌ですよね。これは、肉類の脂質(飽和脂肪酸の多い)は、腸内環境を乱すんです。悪い菌が増えて、良い菌が減ります。
ガスや便がひどく臭いのは、悪玉菌が増えた可能性を考えてください。

黒くネットリしたタール便は、胃などで出血が起きた可能性があるので、すぐに受診しましょう!

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肉の成分③メチオニン

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戦後は、たんぱく質不足を解消することが第一で、動物性食品から摂ると質が良いからと推奨されていました。
まだ、日本で名残があるのは否めないが、世界の栄養学業界ではプラントベース食品からたんぱく質摂取をするメリットが叫ばれるようになりつつあります。
肉に比べ、大豆やその他の豆などの植物性食品のたんぱく質源は、メチオニンが少なめなのです。

脂質の種類だけでなく、不可欠たんぱく質のメチオニンの摂取を控えると、健康で生きられる期間が延びるのではないかという研究結果が注目されています。(4) 

メチオニンをたくさん摂ると2つの問題が起き得ます。(4)

a、血中ホモシステイン濃度が上昇⇒動脈硬化⇒血管が詰まる

その結果、動脈硬化が進むので、心疾患や脳梗塞のリスクが増えます。メチオニンの摂取量だけの話ではなく、葉酸とビタミンB6、B12の不足でもホモシステインの血中濃度が上がります。この3つビタミンの中で要注意は葉酸です。葉酸は、野菜や果物や豆を食べる量が少ない人は、確実に不足しています。

b、体内の酸化が進む⇒老化促進⇒寿命縮む

メチオニンは、酸化促進要因になっているということがわかってきました。
活性酸素を増やし、細胞へのダメージがメチオニンによって起きるのです。(5)

たんぱく質は過剰ではなく、ちょうどよい量を狙って食べるべき理由がここにもあります。そして、肉により大量のたんぱく質を摂取することでメチオニンを大量摂取することになり、酸化ストレスを上げるため寿命を縮めるのです。老化を進めるので、腎臓や脳への負担も指摘されています。(6)

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肉に含まれない成分①食物繊維やフィトケミカル

食物繊維の減少に伴い、日本で大腸がんが増えていきました。
野菜や果物、豆類や無精製の穀類には、食物繊維が含まれます。腸内環境を整えるためにも必須です。
あと、数gは平均して増やした方が良いことがわかっています。

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植物性食品に含まれる生理活性物質フィトケミカルは、ポリフェノールやカロテノイドが代表格です。数百種類存在するであろうフィトケミカルは、まだほんの一部しか解明されていません。わかっているのは、多めに摂取している人の方が寿命が長く、健康度が高いことです。血中カロテノイド濃度が高い人は低い人に比べ、5年長く生きるというデータもあります。(7)

野菜や海藻に含まれる食物繊維は、尿酸の排泄にも関与しています。特にモツにはプリン体が多く含まれます。野菜少なく肉中心に食べて、アルコールまで飲めば、尿酸値は高くなるでしょう。その結果、尿酸が結晶化したら痛風発作が起きます。腎臓にも結晶が出来る可能性があるので、痛いだけの問題ではありません。

肉に含まれない成分②ヘルシーな脂肪酸

n‐3系脂肪酸には、α‐リノレン酸、EPA、DHAがあります。亜麻仁油やエゴマ油、チアシードなどに多く含まれます。心疾患やガンを含む病気のベースに炎症があると言われます。動脈硬化や炎症を抑える効果が期待できるヘルシーな脂肪酸です。悪玉コレステロールを減らす作用もあります。

アトピー性皮膚炎などアレルギーの問題の改善も期待できます。このタイプの脂肪酸が不足すると皮膚炎を起こし、肌荒れしやすいです。

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まとめ

★問題になる量を把握して、不調を回避

問題点に合わせて量を考える必要がありますが、ざっとまとめて考えると、1日に100g程度が上限と考えると良さそうですね。
頻度は難しいですが、週に1~2回までと言ったところでしょう。
特に脂質の多い赤身肉が要注意です。霜降り肉の食べる頻度はそう多くない人が主流だと思いますが、安売りのバラ肉などは気軽に使うのでは?脂質異常症の問題などがある人は、避けたい肉ですね。
たんぱく質源をすべて肉から!というのは、避けた方が良さそうです。納豆や豆腐などは手軽に取れる植物性たんぱく質源!毎日、食べるように心がけましょう。

★不調の原因物質やメカニズムを知って、対処できるようになる

せめて、肉に含まれない食物繊維、フィトケミカル、良い脂質を積極的に摂取することはした方が良さそうですね。

はつみ|管理栄養士|

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